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特定技能の受け入れ費用|総額の目安と内訳

特定技能の受け入れ費用|総額の目安と内訳

「特定技能で1名受け入れると、初年度に総額でいくらかかるのか」——受け入れを検討し始めた企業のご担当者様から、よくいただくご質問です。支援委託費の相場は調べれば出てきますが、紹介手数料や渡航費、住居の準備、在留資格の手続きにかかる費用は別々に散らばっていて、社内の稟議に載せる「合計いくら」が組み立てられない。そうしたお困りの声をよく伺います。

この記事では、1名を受け入れる場合の費用を、初期費用・月額の継続費用・更新時の費用という3層に分けて棚卸しします。公的な手数料は出入国在留管理庁の公表情報に基づき、民間の費用は目安であることを明示して整理します。あわせて、企業と本人のどちらが負担すべきか、2年目以降はどれだけ下がるのかもご説明します。

受け入れ費用は「初期・月額・更新時」の3層で考える

費用の全体像がつかみにくいのは、発生するタイミングがばらばらだからです。就労開始までに1回だけのもの、働いている間ずっと毎月かかるもの、更新のたびにまとまって出ていくもの。この3つを混ぜると、総額の見当がつかなくなります。

特定技能の受け入れ費用の3層構造。第1層は就労開始までに1回発生する初期費用、第2層は就労中ずっと毎月かかる継続費用、第3層は在留期間の更新ごとに発生する費用

なお、給与と社会保険料はこの3層とは別枠で考えてください。特定技能外国人の報酬額は「日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上であること」が求められており(出典: 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q26)、これは制度固有の追加コストではなく、日本人を採用した場合と同じ人件費だからです。給与水準の設計は「最低賃金引き上げと特定技能外国人の給与設計」で整理しています。

初期費用——就労開始までに1回だけかかるもの

まず第1層です。採用を決めてから働き始めていただくまでに発生する費用で、3層のなかで最も大きくなります。海外から呼び寄せる場合と、技能実習修了者や留学生など国内人材を採用する場合とで内訳が変わります。手続きの流れは「特定技能の受け入れの流れ|相談〜就労開始」をご覧ください。

費目 目安 区分
人材紹介手数料 20〜60万円程度 民間費用の目安
渡航費・現地での手続き費用(海外採用の場合) 10〜20万円程度 民間費用の目安
住居の初期費用(敷金・礼金・家具家電など) 10〜30万円程度 民間費用の目安
健康診断 1〜2万円程度 民間費用の目安
支援計画の作成・事前ガイダンスなどの初期委託費 3〜10万円程度 民間費用の目安
在留資格認定証明書交付申請の手数料(海外採用の場合) 無料 公的費用
在留資格変更許可申請の手数料(国内採用の場合) 6,000円(オンライン申請は5,500円)※2026年8月時点の現行額 公的費用

公的費用の出典: 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q23。民間費用は公的統計ではなく、私たちが見積もり比較のご相談を受けるなかで把握している目安です。なお変更許可の手数料は改定案の対象で、2026年10月1日以降に受け付けられた申請から適用される案が示されています。

意外に思われるのが、現時点の公的な手数料の小ささです。在留資格認定証明書交付申請は無料、在留資格変更許可申請も許可時の6,000円です(2026年8月時点)。ただし変更許可の手数料は改定案の対象のため、10月以降の申請は改定後の額で見込んでください。初期費用の大部分は、紹介・渡航・住居といった民間の実費が占めます。

一方で、分野固有の費用が加わることがあります。たとえば建設分野では、受け入れ企業がJAC(一般社団法人建設技能人材機構)の正会員団体に所属するか賛助会員になる必要があり、賛助会員として直接加入する場合の年会費は24万円です(出典: JAC「年会費と受入負担金」)。自社の分野にこうした費用があるかは、見積もり前に必ず確認してください。

月額の継続費用と、更新時にかかる費用

第2層と第3層をまとめて見ていきます。

費目 目安
月額 登録支援機関への支援委託費(1名あたり) 月1〜5万円程度(民間費用の目安)
月額 建設分野の受入負担金(1名あたり) 月12,500円・年15万円
月額 会社が負担する場合の住居費 物件による
更新時 在留期間更新許可申請の手数料 6,000円(オンライン申請は5,500円)※2026年8月時点の現行額
更新時 更新書類の作成を行政書士に依頼する場合の報酬 3〜10万円程度(民間費用の目安)

出典: 建設分野の受入負担金はJAC「年会費と受入負担金」、手数料は出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q23。報酬を得て他人の在留申請書類を作成できるのは、行政書士など法律で認められた者に限られます(行政書士法第1条の2・第19条)。自社の担当者が自社の書類を作成する場合、この費用は発生しません。

月額で最も大きいのは支援委託費です。何が含まれ何が実費になるのかは、「登録支援機関の費用相場は?内訳と選び方を解説」で内訳ごとに整理しています。

更新時の手数料は、いま注意が必要な時期にあります。段階制へ改める政令案が2026年7月3日に公表され、2026年10月1日以降に受け付けられた申請から適用する案が示されているためです。確定すれば特定技能で多い在留期間1年の場合は大きく変わる見込みで、更新は繰り返し発生するため年間コストに直接効いてきます。詳細は「在留手数料の値上げはいつから?企業の対策を解説」をご確認ください。

誰が負担するのか——本人に負担させてはいけない費用がある

費用の総額と並んで多いのが「この費用は本人に負担してもらってよいのか」というご質問です。ここは制度上のルールがはっきりしています。

まず、義務的支援の実施にかかる費用を本人に負担させることは認められていません。出入国在留管理庁は、空港への送迎や交流の支援、転職支援などについて「これらの支援を実施するためにかかった費用については本人に負担させることは認められません」と示しています(出典: 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q76・Q79・Q80)。義務的支援の中身は「特定技能の支援計画とは?10項目の内容を解説」で一覧にしています。

帰国旅費も同様です。「外国人が帰国費用を負担できない場合には、受入れ機関が費用を負担すること」が法務省令で定められています(出典: 同Q&A Q82)。契約終了時に想定外の支出とならないよう、あらかじめ見込んでおくと安全です。

一方で、企業がすべてを負担しなければならないわけではありません。住居について出入国在留管理庁は「住居の確保は、受入れ機関等が住居費用を負担することまで求めるものではなく」と示しており、家賃の立替分を本人に請求すること自体は差し支えないとされています。自社所有の社宅を提供することも可能です(出典: 同Q&A Q91・Q92)。

支援そのものの実施にかかる費用は企業が持ち、家賃や食費など本人の生活実費は本人が負担する——これが大枠の考え方です。ただし費目ごとに扱いが異なるため、判断に迷うものは個別にご確認ください。雇用契約書と社内の運用に落とし込んでおくと、後々のトラブルを避けられます。

2年目以降はどれだけ下がるか、費用をどう抑えるか

3層で整理すると、2年目以降の姿も見えてきます。初期費用は原則1回だけの支出で、翌年からは消えるからです。海外から1名を受け入れ、支援委託費を月3万円とした場合の試算例が次の図です。

初年度と2年目の費用比較。初年度は初期費用約73万円と支援委託費約36万円で合計約109万円、2年目は支援委託費約36万円と更新関連約6万円で合計約42万円

初年度が約109万円、2年目は約42万円という試算です(いずれも給与・社会保険料を除き、更新手数料は2026年8月時点の現行額です)。ここから分かるのは、長く働いていただけるほど1年あたりの負担は下がるという構造です。逆に早期に離職が起きれば、次に迎える方のために、もう一度同じ初期費用がかかります。費用を抑えるうえで効果が大きいのは、値引き交渉よりも、安心して長く働いていただける環境を整えることだと私たちは考えています。

そのうえで、現実的な方法は3つあります。1つ目は、在留資格の手続きをオンライン申請で行える体制を整えることです。手数料が窓口より安く、更新のたびに効いてきます。申請書類を自社で作成すれば、行政書士への報酬も発生しません。2つ目は、支援委託費の内訳を精査することです。同じ月額でも含まれる範囲が違えば1年間の総額は変わります。判断の基準は「登録支援機関の選び方|比較の5つの基準」にまとめました。

3つ目が、義務的支援を自社で担う「内製化」です。支援体制の要件を満たせば月額の支援委託費そのものが不要になり、人数が増えるほど効果は大きくなります。ただし担当者の育成と社内マニュアルの整備には時間がかかるため、1〜2名なら委託を続けたほうが負担は軽く、複数名を継続的に受け入れる計画があるなら検討する価値がある、というのが目安です。

まとめ

特定技能の受け入れ費用は、初期費用・月額の継続費用・更新時の費用の3層に分けると総額が見積もれます。公的な手数料は在留資格認定証明書交付申請が無料、在留資格変更許可・在留期間更新許可が6,000円(オンライン申請は5,500円。いずれも2026年8月時点の現行額)で、金額の大部分は人材紹介・渡航・住居といった民間の費用が占めます。義務的支援にかかる費用と、本人が負担できない場合の帰国旅費は企業が負担する決まりです。初期費用は1回だけの支出のため、2年目以降の負担は大きく下がります。金額の絶対値だけで判断せず、長く安心して働いていただくための費用として3層を組み立てていただければと思います。

AidBridgeの場合

私たちAidBridgeは、代表が現役の社会保険労務士である登録支援機関です。費用の負担者をどう定めるかは、雇用契約書や就業規則の書きぶりに直結する労務の論点でもあります。在留資格の手続きと労務管理を一つの窓口でご相談いただける体制は、こうした場面でお役に立てると考えています。

料金は、登録支援業務プランが月額35,000円(1名あたり、税別)、内製化支援プランが月額30,000円(人数単位、税別)と初期費用300,000円(税別)です。いずれも標準料金で、対応人数・業種・地域によって調整いたします。詳細は料金ページ、内製化支援の進め方は支援サービスページをご覧ください。提携行政書士の監修のもと、書類作成を独自のシステムで効率化する取り組みも進めています。

自社の分野・人数・採用ルートだと総額がいくらになるのか。具体的な状況に即して試算いたしますので、まずはお気軽に無料相談するところから始めてください。

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