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在留手数料の値上げはいつから?企業の対策を解説

在留手数料の値上げはいつから?企業の対策を解説

※この記事は2026年7月時点の情報に基づいています。金額を定める政令は現在「案」の段階で、2026年8月2日まで意見公募(パブリックコメント)が行われています。本文では、すでに確定した事項と、これから確定する事項を区別して整理します。

「在留資格の手数料が20万円になるらしい」——こうした見出しを目にして不安になった企業のご担当者様は少なくないと思います。引き上げ自体は事実ですが、大きく報じられた金額は永住許可のもので、特定技能外国人を受け入れている企業に直接効いてくる金額はまた別です。何が、いくら、いつから変わり、自社の年間コストがどれだけ増えるのか。出入国在留管理庁が公表した資料に基づいて、受入企業の目線で整理します。

何が変わるのか——一律6,000円から「在留期間に応じた段階制」へ

今回の改定でもっとも大きな変化は、金額そのものよりも仕組みにあります。これまで在留資格変更許可と在留期間更新許可の手数料は、在留期間にかかわらず窓口申請6,000円・オンライン申請5,500円の一律でした(出典: 出入国在留管理庁「在留手続等に関する手数料の改定」)。これが改定案では、在留期間が長いほど手数料が高くなる段階制に変わります。公表された改定案の金額は次のとおりです。

許可される在留期間 窓口申請 オンライン申請
3月以下 10,000円 10,000円
3月超6月以下 18,000円 15,000円
6月超1年未満 25,000円 21,000円
1年 33,000円 27,000円
1年超3年未満 48,000円 42,000円
3年以上5年未満 64,000円 56,000円
5年以上 75,000円 65,000円

出典: 出入国在留管理庁「在留許可手数料の額について(案)」(改正入管法施行令第25条第1項)を基に当社作成

在留資格変更許可・在留期間更新許可の手数料改定案。現行は窓口一律6,000円だが、改定案では許可期間3月以下が10,000円、3月超6月以下18,000円、6月超1年未満25,000円、1年33,000円、1年超3年未満48,000円、3年以上5年未満64,000円、5年以上75,000円と段階的に上がる横棒グラフ

あわせて押さえておきたい点が3つあります。

1つ目は、オンライン申請なら手数料が安くなることです。差額は区分によって3,000円から10,000円で、在留期間が長いほど差が開きます。ただし「3月以下」の区分だけは窓口・オンライン同額で、割引はありません。

2つ目は、報道で話題になった永住許可の20万円です。現行の10,000円から200,000円へ引き上げる案が示されています(出典: 同上)。窓口申請のみで割引の対象外ですが、特定技能2号へ進んだ人材が将来的に検討する場面の話であり、日々の受け入れ実務に直接効く金額ではありません。

3つ目は、在留資格認定証明書の交付申請が、今回の改定案に含まれていないことです。在留資格認定証明書とは、海外にいる人材を呼び寄せる際に、入国に先立って在留資格の要件を満たすことを証明してもらう書類です。今回の案の対象は在留資格変更許可・在留期間更新許可・永住許可であり、この交付申請は対象外です。新規採用の入口部分に追加の負担は生じません。

特定技能の受け入れにいくら効くのか

鍵になるのは「自社の外国人材に何年の在留期間が許可されているか」です。特定技能1号では在留期間1年での更新が広く行われてきました。この場合、更新1回あたりの手数料は6,000円から33,000円へと変わります。特定技能1号の人材を5名受け入れ、全員が1年ごとに更新している企業を例に見てみます。

現行 改定案(窓口) 改定案(オンライン)
1名あたり(在留期間1年) 6,000円 33,000円 27,000円
5名の年間合計 30,000円 165,000円 135,000円

年間30,000円だった負担が、窓口申請なら165,000円になります。1件あたりでは数万円でも毎年発生する固定費のため、人数が二桁の企業では年間数十万円規模の差になり、来年度以降の予算計上に反映しておく必要があります。特定技能の受け入れにかかる費用全体の考え方は、「登録支援機関の費用相場は?内訳と選び方を解説」で内訳ごとに整理しています。

いま確定していること、まだ決まっていないこと

今回の改定は、法律部分と金額部分で段階が分かれています。「決まったこと」と「決まりそうなこと」を混同しないことが大切です。

在留手数料改定の流れ。2026年5月29日に改正入管法が成立、6月5日に公布され手数料の上限額が引き上げられた。7月3日に具体的な金額を定める政令案が公表されパブリックコメント開始、8月2日に意見募集締切、10月1日以降に受け付けた申請から適用予定という時系列図

すでに確定していることは、法律の枠組みです。改正法(令和8年法律第32号)は2026年5月29日に成立し、6月5日に公布されました。ただしこの法律が定めたのは手数料の上限額の引上げであり、実際に徴収する額は政令に委ねられています。手数料に関する規定の施行日も「令和9年3月31日までの間において政令で定める日」とされています(出典: 出入国在留管理庁「令和8年入管法等改正法について」)。

まだ確定していないことは、実際に徴収される金額です。上の表で示した33,000円や75,000円といった具体的な額は政令で定められます。その政令案が2026年7月3日に公表され、同日から8月2日までの30日間、意見公募手続(パブリックコメント)が行われています(出典: 出入国在留管理庁の意見公募手続の実施について、令和8年7月3日掲載)。つまり本記事の金額は、現時点では確定額ではなく案です。

適用の開始時期は、2026年10月1日以降に受け付けられた申請からとする内容で案が示されています。「許可が下りた日」ではなく「申請が受け付けられた日」が基準とされている点は、実務上の分かれ目になります。意見公募を踏まえて政令が公布された段階で金額と施行日が確定しますので、本記事も確定情報が公表され次第、内容を更新します。

受入企業がいまできるコスト対策

確定を待つだけでなく、いまの段階から手を打てることがあります。優先度の高い順に3つ挙げます。

1. オンライン申請を使える状態にしておく

もっとも確実な対策は、在留申請をオンラインで行える体制を整えることです。在留期間1年の更新では窓口33,000円に対しオンライン27,000円と、1件あたり6,000円、5名なら年間30,000円の差が付きます。

注意したいのは、オンライン申請はすぐに使い始められるわけではないことです。所属機関(受入企業)や登録支援機関の職員が利用するには、利用者情報の登録を行ってIDを取得したうえで、地方出入国在留管理官署に利用申出を行い、承認を受ける必要があります(出典: 出入国在留管理庁「所属機関・公益法人・登録支援機関の職員の方」)。承認までに時間がかかるため、10月の適用開始に間に合わせるなら、いまの時期の着手が安全です。

2. 許可される在留期間を長くできないか検討する

段階制になったことで、同じ3年間でも、許可される在留期間によって総額が変わります

特定技能1号については、2025年9月の運用要領の改訂により、在留資格変更許可申請および在留期間更新許可申請において、従来の1年を超えない範囲から3年を超えない範囲で在留期間を付与できるよう改められています(出典: 出入国在留管理庁「特定技能運用要領」)。海外から呼び寄せる際の認定証明書交付申請は、この改訂の対象外とされています。

仮に3年の在留期間が許可された場合、窓口申請での手数料は次のように変わります。

許可される在留期間 1回あたり(窓口) 3年間の更新回数 3年間の合計(1名)
1年 33,000円 3回 99,000円
3年 64,000円 1回 64,000円

1名あたり3年間で35,000円の差になり、更新手続きの回数が減ることで事務負担も軽くなります。どの在留期間が許可されるかは審査によって決まり企業側が選べるものではありませんが、届出の履行状況や受け入れ体制の適正さを日頃から整えておくことが、結果として長期の在留期間につながります。

3. 誰が負担するかを事前に明確にしておく

金額が数千円のうちは曖昧でも問題になりにくかった点ですが、数万円規模になると、手数料を企業と本人のどちらが負担するのかを明確にする必要があります。就業規則や雇用契約書に記載がなければ、この機会に整理し、本人にも事前に説明しておきましょう。金額が上がってから初めて説明すると、思わぬ不信につながりかねません。

動くべき会社と、様子を見てよい会社

  • いま動くべきなのは、人材をすでに複数名受け入れており、更新が毎年発生している企業です。オンライン申請の利用申出には時間がかかるため、10月を待たずに着手する価値があります。
  • 様子を見てよいのは、これから受け入れを検討し始めた段階の企業です。海外から呼び寄せる際の認定証明書交付申請は今回の案の対象外で、最初の更新までには時間があります。確定情報を待って設計しても間に合います。

明日できる3つの確認

  1. 自社の外国人材全員の在留期限と、次回更新の時期を一覧化する。 2026年10月1日以降に申請するものがどれだけあるかが見えれば、影響額を試算できます。
  2. オンライン申請の利用申出が済んでいるかを確認する。 未了であれば、登録支援機関への委託も含めて、誰が申請する体制なのかを整理します。
  3. 来年度予算に更新手数料の増額分を反映する。 「人数 × 該当区分の金額」で試算し、雇用契約・社内規程の負担者の記載もあわせて点検します。

まとめ

在留資格変更許可・在留期間更新許可の手数料は、一律6,000円から在留期間に応じた10,000円〜75,000円の段階制へ、永住許可は10,000円から200,000円へ引き上げる案が示されています。特定技能で多い在留期間1年の場合は33,000円、オンライン申請なら27,000円です。適用は2026年10月1日以降に受け付けられた申請からとされていますが、金額を定める政令は8月2日まで意見公募中で、現時点では確定していません。上限額を定めた法律は確定済み、具体的な金額はこれから確定という二層で捉えておけば、今後の報道にも落ち着いて対応できます。企業側の備えは、オンライン申請の体制づくり、在留期間の長期化を見据えた受け入れ体制の適正化、負担者の明確化の3点です。

AidBridgeの場合

私たちAidBridgeは、代表が現役の社会保険労務士である登録支援機関です。今回のような手数料の改定は、単なる経費の増加にとどまらず、誰が負担するのかという雇用契約・社内規程の問題に直結します。在留資格の手続きと労務管理の両方を一つの窓口でご相談いただける体制は、こうした場面でこそ役に立つと考えています。給与・労務の面から受け入れコストを考える視点は、「最低賃金引き上げと特定技能外国人の給与設計」でも整理しています。

また私たちは、提携行政書士の監修のもと、認定申請や期間更新の書類作成を独自のシステムで効率化する取り組みを進めています。企業様が自社で申請を進める(内製化する)場合にも、システムとテンプレートで書類作成の負担を軽くし、オンライン申請を使える体制づくりまでご一緒します。制度そのものの仕組みから確認したい方は、「特定技能制度とは?企業向けに仕組みを解説」もあわせてご覧ください。

自社の受け入れ人数だと手数料がいくら増えるのか、オンライン申請の体制をどう整えればよいのか。具体的な状況に即してご案内いたしますので、まずはお気軽に無料相談するところから始めてください。

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