インドネシア
インドネシア人材の採用が注目される理由

「次はインドネシアがいいらしい」——特定技能で外国人材の受け入れを続けている企業の経営者から、この一言をよく聞くようになりました。これまで特定技能といえばベトナムが大多数でしたが、ここ数年でインドネシア人材の存在感が急速に増しています。私(執行役員・神谷)は普段インドネシアに住み、現地の送出機関の顧問として採用と教育の現場に関わっています。その立場から見ても、「なぜ今インドネシアが注目されているのか」は、数字の裏に現地のリアルな理由があります。この記事では、統計で見える動きと、現地で肌に感じる背景の両面から整理します。
数字で見る「インドネシア人材の急増」
まず、注目が集まっていることは在留統計にはっきり表れています。出入国在留管理庁によると、2024年末時点の在留インドネシア人は199,824人で、前年末から50,723人増えました(出典: 令和6年末現在における在留外国人数について(出入国在留管理庁))。1年で約34%増という伸び率は、在留者数の多い主要な国・地域のなかでもとりわけ大きいものです。
この伸びを牽引しているのが特定技能です。特定技能で働く外国人を国籍別に見ると、インドネシアはベトナムに次ぐ第2位で、しかも構成比を年々伸ばしています(出典: 特定技能制度の運用状況(出入国在留管理庁))。制度そのものの概要は「特定技能制度とは?企業向けに仕組みを解説」で整理していますが、その受け皿の国籍構成が、いま静かに書き換わっているということです。
なぜ今インドネシアなのか——現地から見た4つの背景
数字は結果であって、理由は現地にあります。私が普段接している範囲での実感を交えて、背景を4つに整理します。
第一に、若くて分厚い労働人口です。 インドネシアは人口約2.8億人を抱える世界有数の大国で、しかも年齢構成が若い。街を歩けば20代・30代の働き盛りが非常に多く、「日本で働きたい」という意欲を持つ若者の母数がとにかく大きいのです。人手不足に悩む日本の受入企業にとって、この母数の大きさは何より心強い条件になります。
第二に、日本への好感度の高さです。 現地で仕事をしていると、日本のアニメ・製品・文化に親しみを持つ若者の多さに驚きます。「日本で働く」ことが前向きな目標として語られる空気があり、これは採用の入口でも、来日後の定着でも効いてきます。
第三に、国どうしの受け入れの枠組みが整ってきたことです。 日本とインドネシアは特定技能に関する協力覚書(MOC)を結んでおり、送出しの手続きや保護の枠組みが制度として動いています。ここは実務に直結する部分なので正確に言うと、インドネシア側は「SISKOTKLN(海外労働者管理システム)」への登録を求めるなど、送出しに一定の公的な手続きを課しています。手続きの型が定まっていることは、受入企業から見れば予見可能性が高いということです。
第四に、ベトナム一極集中のリスク分散です。 長くベトナムに頼ってきた企業ほど、近年は現地の賃金上昇や他国との人材獲得競争を肌で感じています。採用ルートを一国に依存する危うさは、為替でも、競合の激化でも顕在化します。「もう一本、太いパイプを持っておきたい」という経営判断の受け皿として、インドネシアが選ばれているのです。
見落とされがちな注意点——宗教への配慮
一方で、インドネシア人材の受け入れには、ベトナムとは異なる準備が必要な面もあります。最も大きいのが、人口の約9割がイスラム教徒(ムスリム)であることです。
具体的には、1日の礼拝、豚肉やアルコールを避ける食事(ハラル)、ラマダン(断食月)の期間中の勤務への配慮などが論点になります。これらは「対応できない=受け入れられない」という話ではなく、事前に自社の現場でどこまで配慮できるかを設計しておけば、多くはスムーズに運用できます。逆に、何も準備しないまま受け入れて、現場で初めて戸惑うのが一番避けたい形です。配慮の設計は、来日後の定着率にそのまま跳ね返ってきます。
自社は「今動くべきか」——判断の分岐
インドネシア人材が注目されているからといって、すべての企業が今すぐ動くべきというわけではありません。自社の状況で判断が分かれます。
| 今、検討を進めてよい企業 | いったん準備を整えてからでよい企業 |
|---|---|
| 複数年にわたって継続的に採用する計画がある | 当面は1名だけ・単発の採用にとどまる |
| ベトナム等での採用難・競争激化を感じている | 現状の採用ルートで十分に人材を確保できている |
| 現場でムスリムへの配慮を設計する余地がある | 受け入れ体制(住居・相談窓口)がまだ未整備 |
継続的に人材を受け入れる計画があり、採用ルートを分散させたい企業にとっては、いまが検討の好機です。反対に、受け入れ体制そのものがまだ整っていない場合は、国選びよりも先に社内の受け入れ準備を固めるほうが、結果的に近道になります。受け入れ全体にかかる費用感は「登録支援機関の費用相場は?内訳と選び方を解説」を参考にしてください。
明日できる3つの確認
インドネシア人材の受け入れを具体的に考え始めるなら、まず自社で次の3点を確認してみてください。
- 宗教的配慮の余地 — 礼拝の時間や場所、ハラルに配慮した食事、ラマダン中の勤務シフトについて、自社の現場でどこまで対応できるかを一度洗い出す
- 送出機関の教育と実績 — 来日前にどんな日本語教育・生活教育を行っているか、失踪や早期離職を防ぐ仕組みがあるかを、送出機関ごとに確認する
- 母国語での相談体制 — 受け入れ後にインドネシア語で相談・苦情に対応できる窓口があるか(自社または委託先に)を確認する
この3点が見えていれば、「なんとなく良さそう」から「自社で受け入れられる」へと、検討の解像度が一気に上がります。
AidBridgeの場合
私たちAidBridgeは、執行役員がインドネシア現地の送出機関の顧問を務め、採用・教育の現場に直接関わっています。カタログ越しの提携ではなく、現地で人材がどう選ばれ、どう教育されているかを内側から知る立場です。来日前の教育から、来日後の日本語学習の伴走まで、切れ目のない支援を得意としています。インドネシア人材の受け入れをご検討でしたら、現地の実情を踏まえたご提案が可能です。支援内容は支援サービスページでご確認いただけます。
まとめ
インドネシア人材の採用が注目されているのは、若く分厚い労働人口、日本への好感度、整いつつある国家間の枠組み、そしてベトナム一極集中のリスク分散という、複数の理由が重なっているからです。一方で、宗教への配慮という準備は欠かせません。「注目されているから」ではなく、自社が継続的に受け入れる計画があるか、配慮を設計できるかという目線で判断することが大切です。
インドネシア人材の受け入れについて、現地の実情を踏まえて具体的に相談したいという企業様は、まずは無料相談でお気軽にご相談ください。