育成就労

育成就労はいつから?施行日と企業の準備を解説

育成就労はいつから?施行日と企業の準備を解説

※この記事は2026年7月時点の情報に基づいています。育成就労制度は施行日こそ確定していますが、政省令や分野別の運用方針が順次固まっている段階です。本文では、すでに確定している事項と、これから決まる事項を区別して整理します。

「技能実習が廃止される」「新しく育成就労という制度ができる」——こうしたニュースを目にして、いま技能実習生を受け入れている企業様、これから外国人材の採用を考えている企業様の多くが、「結局いつから、何が変わるのか」「今いる実習生はどうなるのか」という不安を抱えています。制度の切り替えは数年がかりで進むため、報道の断片だけでは全体像がつかみにくいのも当然です。この記事では、育成就労制度の施行スケジュールと、受入企業が今からとっておける準備を、一次情報に基づいて時系列で整理します。

育成就労はいつから始まるのか——施行日は2027年4月1日で確定

まず押さえておきたいのは、育成就労制度の施行日はすでに確定しているという点です。

育成就労は、2024年6月に公布された改正法(令和6年6月21日・法律第60号による出入国管理及び難民認定法と技能実習法の改正、および新設された育成就労法)によって創設される在留資格(外国人が日本に滞在するための法的な資格)です。この制度は、一部の規定を除き2027年(令和9年)4月1日に施行されることが政令で定められています(出典: 出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」)。

制度の全体像は、公布から施行までの流れで見ると理解しやすくなります。

育成就労制度の施行スケジュール。2024年6月に改正入管法・育成就労法が公布され、2026年以降に政省令と分野別運用方針を順次整備、2027年4月1日に施行、施行後は既存の技能実習生が経過措置で継続する時系列図

図のとおり、公布(2024年6月)と施行(2027年4月)の間には約3年の準備期間が置かれています。この間に、制度の細部を定める政省令や、分野ごとの受け入れ方針(分野別運用方針)が順次整備されます。施行日そのものは動きませんが、「自社の分野で具体的にどう運用されるか」は今後の告示・運用方針の公表を待つ部分が残っている、というのが2026年7月時点の正確な状況です。

なお技能実習制度は育成就労の施行に合わせて役割を終えていきますが、施行日をもって直ちに全員が切り替わるわけではありません。この点は後の章で詳しく触れます。

技能実習と何が変わるのか——「育成」と「就労」の両立

育成就労は、技能実習の後継制度と説明されることが多いものの、制度の目的そのものが変わります。技能実習が「技能移転による国際貢献」を建前としていたのに対し、育成就労は人材の確保と育成を正面から目的に掲げ、3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで育てることを狙いとしています。

企業の実務に影響する主な変更点を、技能実習と並べて整理します。

項目 技能実習 育成就労
制度の目的 技能移転による国際貢献 人材の確保と育成
在留期間 最長5年(1〜3号) 原則3年
到達目標 技能検定等の合格 特定技能1号の水準
本人意向の転籍 原則不可 一定条件で可能
日本語 入国時の要件は限定的 段階的に要件化(後述)

出典: 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」等の公表資料を基に当社作成(Q&Aはこちら)

とくに実務への影響が大きいのが、本人の意向による転籍(転職)が一定の条件で認められる点です。技能実習では原則として転籍が認められていませんでしたが、育成就労では、同一の受入れ機関で一定期間を超えて就労していること、転籍先が優良な受入れ機関であること、同一の業務区分内であること、といった条件を満たせば、本人の意向による転籍が可能になります。この「一定期間」にあたる転籍制限期間は、分野別運用方針で1年以上2年以下の範囲で分野ごとに定められるとされており(出典: 同上・Q&A)、具体的な年数は分野によって異なります。ここは今後の運用方針で確定する部分です。

もう一つの大きな変更が、日本語能力の段階的な要件化です。育成就労では、就労開始から3年をかけて日本語能力を引き上げることが求められます。

育成就労で求められる日本語能力の3段階。就労開始前までにA1相当以上の試験に合格するか認定機関のA1相当講習を100時間以上受講し、就労開始から1年以内にA1相当を修得して試験を受け、3年間を通じてA2相当を修得して試験に合格するという流れの図

就労開始前までに日本語能力A1相当以上の試験に合格すること(または、これに相当する認定日本語教育機関のA1相当の講習を100時間以上受講すること)、就労開始から1年以内にA1相当を修得して試験を受けること、3年間を通じてA2相当を修得し試験に合格すること、という段階が定められています(出典: 同上・Q&A)。就労開始前の要件は「試験合格」と「講習受講」のどちらかを満たせばよい点が、実務上のポイントです。「A1」「A2」は日本語教育の参照枠に基づく水準の呼び方で、基礎からより自立的なやりとりへと段階を上げていくイメージです。この日本語要件は、後述する特定技能1号への移行にも直結します。

今いる技能実習生はどうなるのか——経過措置と移行の考え方

技能実習生を現に受け入れている企業様が最も気にされるのが、「2027年4月をまたぐ実習生は、どうなってしまうのか」という点でしょう。

この点について、施行日である2027年4月1日の時点ですでに来日している技能実習生は、引き続き認定を受けた計画に基づいて技能実習を続けることができるとされています(出典: 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」)。施行日をもって在留資格が失われたり、直ちに帰国が必要になったりするわけではありません。まずはこの点を押さえておけば、過度に慌てる必要はありません。

そのうえで中期的に見据えたいのが、育成就労で育てた人材を特定技能1号へつなげる道筋です。育成就労から特定技能1号へ移行するには、技能に関する試験(技能検定試験3級等または特定技能1号評価試験)と、日本語能力に関する試験(日本語能力A2相当以上の試験)への合格が要件となります(出典: 同上・Q&A)。前の章で触れた「3年間を通じてA2相当」という日本語要件が、そのまま特定技能1号への移行要件につながっている点に注目してください。

つまり育成就労は、「3年で終わる制度」ではなく、特定技能1号、さらにその先の特定技能2号へと続く長期的な受け入れの入口として設計されています。特定技能制度そのものの仕組みは、「特定技能制度とは?企業向けに仕組みを解説」で整理していますので、育成就労の「その先」を考えるうえであわせてご覧ください。特定技能へ移行した後の支援委託にかかる費用の考え方は、「登録支援機関の費用相場は?内訳と選び方を解説」で解説しています。

受入企業が今からとるべき準備——動くべき会社と、待ってよい会社

施行は2027年4月ですが、準備の要否は企業の状況によって分かれます。「今すぐ動くべき会社」と「情報収集をしながら待ってよい会社」を切り分けて考えると、優先順位がはっきりします。

今から動いておきたいのは、次のような企業です。

  • 現在、技能実習生を受け入れており、その人材に長く働いてもらいたい企業。実習から育成就労・特定技能へと続く道筋を早めに描くほど、本人のキャリアと定着の設計がしやすくなります。
  • 転籍が一定条件で可能になることを見据え、「選ばれ続ける職場」への改善に時間をかけたい企業。転籍制限期間が明ければ、その後は待遇や職場環境が定着を左右します。
  • 日本語学習の支援体制を自社に持っていない企業。A1からA2への段階的な要件化に対応するには、来日後の学習を支える仕組みづくりに助走期間が要ります。

一方で、次のような企業は、情報収集を続けながら段階的に準備を進めても間に合います。

  • まだ外国人材の受け入れ自体を検討し始めた段階で、当面は特定技能での採用を軸に考えている企業。育成就労は「実習の代替」であり、最初から特定技能で採用する場合は制度の性格が異なります。
  • 自社の分野の分野別運用方針(転籍制限期間や受け入れの細部)がまだ公表されておらず、確定情報を待って設計したい企業。

いずれの立場でも共通するのは、「施行日は動かないが、分野別の運用は今後固まる」という二層で情報を追うことです。制度の骨格は確定情報で、運用の細部は今後の公表で押さえる——この整理ができていれば、情報の更新にも落ち着いて対応できます。

明日できる3つの確認

読み終えたあと、自社ですぐに着手できる確認事項を3つに絞りました。

  1. 今いる実習生の在留期限と技能実習計画の満了時期を一覧化する。 誰が2027年4月をまたぐのか、誰が特定技能への移行対象になり得るのかが、これで見えてきます。
  2. 自社の分野の「分野別運用方針」の公表状況を確認する。 転籍制限期間や受け入れの細部は分野ごとに定まるため、出入国在留管理庁の育成就労制度ページで自社分野の最新の告示・運用方針をチェックしておきます。
  3. 来日後の日本語学習をどう支えるかを社内で話し合う。 A1からA2への段階的な要件化に、誰が・どんな体制で対応するのか。外部の力を借りるのか、自社で仕組みを作るのかを検討し始めておきます。

まとめ

育成就労制度は、2027年(令和9年)4月1日の施行が確定しています。目的が「人材の確保と育成」に変わり、在留は原則3年、本人意向の転籍が一定条件で可能になり、日本語能力はA1からA2へと段階的に要件化されます。施行日時点で来日している技能実習生は経過措置で就労を継続でき、育成就労で育てた人材は要件を満たせば特定技能1号へとつながります。施行日という「確定情報」と、分野別運用方針という「これから決まる情報」を分けて追うことが、落ち着いた準備の第一歩です。

AidBridgeの場合

私たちAidBridgeは、代表が現役の社会保険労務士である登録支援機関です。育成就労への移行を考えるとき、企業様には「在留資格の要件を満たすこと」と「雇用契約・社会保険・労働時間といった労務管理を適正に整えること」が同時に求められます。この両輪を一つの窓口で相談できる体制が、初めて制度の切り替えに向き合う企業様の負担を減らせると考えています。

また、育成就労で鍵になる来日後の日本語学習について、私たちは「教室や教材を紹介して終わり」にせず、A1からA2、そして特定技能への移行までを見据えた継続的な学習の伴走を重視しています。転籍が可能になる時代に、外国人材に「ここで働き続けたい」と思ってもらえる職場づくりまで含めて、長期的な受け入れの成功を一緒に設計します。

さらに私たち自身も、2027年の育成就労の施行を見据えて、その受け皿となる機関としての準備を現在進めています。制度の切り替えに企業様が向き合うそのときに、同じ時間軸で態勢を整えてきた立場から、実務に即してご一緒できるよう備えています。

育成就労への備えとして今なにから手をつければよいか、自社の状況に即したご案内をいたします。まずはお気軽に無料相談するところから始めてください。

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